公益法人としてのPFI事業への取り組み


地方自治体の財政状態の悪化により、本来低下してはならない住民サービスがかつてない不安定な事業ベースになりつつある。
このまま放置すれば自治体によって格差が生じ、本来平均した住民サービスを受けるという権利が崩壊していく現実を踏まえて,PFI事業の考え方に乗っ取った小規模な生活系住民サービス(ソフトインフラ)を市民に提供する仕組み作りという概念にて公益法人としての役割を研究及び実施に向け活動するものである。

各地方自治体に格差はあるが、防災に関しては予算が付きにくく十分な情報提供が行われていない状況下にて、公益法人として地域住民及び観光者や訪問者に対して避難場所を明記した案内板の設置を行う活動を続けている。

避難誘導案内板(案内板)とは、単に防災情報を提供するのではなく、現在ある街区案内板(町名や番地が表記されているもの)に防災情報を付加し、外国語表記及び低年齢層にも理解できるようにイラスト表記等も追加し、災害時役立つことの他に平素からの市民の防災意識向上に役立つことを目的としている。

案内板は国際社会及び市民生活に適応した生活系住民サービス(ソフトインフラ)の1つであるが、生活系住民サービスは本来政府・地方自治体が行うべき事業であるが、財政内容悪化等によりおろそかにされている部分もある。
そのような状況下でPFI事業法案及び世界的に民営化や規制緩和へ向かう時流は、正に時代は新しい考え方へ公共事業のあり方が変化しているといえる。

この案内板の原資確保については案内板下部にPR表記を設置してPR料金を行政に変わり徴収して案内板の原資としている。
しかしながら行政の官地を利用してのPR料金徴収には賛否両論があり解決すべき課題はあるが、欧米先進国では公共の場所にPRを行いそれを原資の一部に充当して生活系住民サービスを安価に提供されている例も少なくない。
ロサンゼルスに関しては高速道路の植樹や清掃管理までPR料金の徴収によってまかなわれており、現実にこの植樹や清掃管理の協賛は順番待ち状態である。

PRという考え方自体は日本人的発想でありロサンゼルス市役所の担当官は「高速道路PR表示はPRでなく社会貢献を行っている優良企業の社名表示であり、住民サービスに不可欠である。」との評価である。

イギリスでは公共事業の20%弱は民間の資金に委ねられた公共事業(PFI事業)が行われている。
これは日本で実施されている第三セクター方式でなく、民間が民間の責任において事業を企画立案し又資金調達も民間サイドで行い資金的責任を負担して経営を行うというものである。
当然経営者の基盤次第では民間経済の仕組み上倒産等のリスクとなるが、いままでも絶対的な信用状態の公共事業ばかりでなく、競争原理を活用した市場原理に任せて運営することが理想的な公共事業だと考えられる。

しかしながら単純にこの方法を日本に持ち込んだとしても風土や文化が違う中そのまま順調に行くとは考え難く、その社会的役割上、公益法人である団体は内部にて倫理感を明確にし、PRについて例えば奇抜にしない、景観に配慮する、(業種に差別するわけではないが)社会貢献するに相応しい業種(病院等防災に関わる事業体)からの協賛しか受けない、などの倫理規定を設けて事業推進し防災産業の底上げや社会貢献に対する民間企業の認識向上の役割を担うべきと考える。

また行政及び行政と契約協定する団体の財務内容の情報公開の徹底を始め、市民のための本当の意味での行政サービス及び生活系住民サービスを具体的かつ速やかに推進することが必要であり急務である。

住民サービスを行政の予算を使途せず行うわけで、利益を目的とした団体でなく、あくまで公共事業を民間の活力と善意を基盤とした考え方で事業推進するべきことが公益法人としての本来の役割と考える。