英国の財政支出の削減を現実にしたPFI事業


英国版PFIは次のような明確な理念に基づき制度化されている。(注1)

公共の役割は適切なサービスの購入公的セクターは、従来、公的サービスの提供者であったが、PFIの導入によって、適切なサービスの購入者に転換する。
原則としてすべてPFI事業すべての公的事業・サービスは、PFIの対象である。
PFIでは効率的に実施できない事業に対してのみ、政府による従来型の公共投資が認められる。
バリュー・フォー・マネーの概念を導入国民からの税収に対し、最も価値あるサービスを提供するという概念(Value for Money:VFM:国民の税金を国民の為に最大限有効に活用しようとする考え方)が導入されている。
VFMに基づき公的支出は常に妥当である必要がある。
マーケット・テスティング公的サービスの質を改善するために、公的セクターを民間セクターと競合させるという考え方が導入されている。
民間による公的サービスの提供が、VFMの考え方のもと、行政によるサービス提供よりも効率的であるならば、当該部門の公的サービスは民営化し、効率化を進めるとともに、当該行政部門の縮小を図り、「小さな政府」づくりを進める。
民間へのリスク移転VFMが最大化するよう民間へ適切なリスク移転を行う。
情報開示の徹底事業者の決定プロセス、事業経過などの公的な事項は開示される。
現在ではイギリスにおける公共投資の1割強を占めるまでなっており、イギリスの財政支出の削減と経済活性化に絶大なる効果をもたらした。

(注1)「基礎研REPORT 98年6月号」ニッセイ基礎研究所