第三セクターの失敗を
2度繰り返してはいけない


これまで日本には、民間活力を利用する点では、第三セクターという形態があった。
しかし、第三セクターは、どちらかといえば政府主導の事業計画のもと(つまり民間へのリスク移転が不十分)、民間は資金及び人材を提供するにとどまっており、民間の経営ノウハウが活かされることが少なかった。
第三セクターでは、官主導の経営体質から脱皮して経営することが少なかったため、9割以上の事業は自力では運営出来ない状態である。

PFI事業と第三セクターとの大きな違いは、PFI事業はあくまで民間主導で経営を行い、民間の経営ノウハウを十二分に発揮できる環境を作ることが大切である、すなわち官が民間の下請けに入るような心構えで取り組む必要があると考えられる点である。
企画立案及び資金調達、また財務責任を民間に委ねる訳で、官は規制緩和、地方分権を唱えられる中で地域に合った規制緩和を緩やかに行い混乱のないPFI事業への移行を推進すべきことが望ましい。
小さな政府の実現


現下の経済状況では、景気対策を最優先課題として進めていくべきものの、このままでは少子・高齢化による国民負担率の増大が確実に予想される。

このような状況において、長期的には、財政構造改革、ひいては「小さな政府」の実現に向けた取り組みが必要不可欠である。

行政改革委員会の提言「行政関与の在り方に関する基準」(1996年12月)は、「民間でできるものは民間に委ねる」という基本原則を示しており、この基本原則を公共事業分野においても遵守すべきである。

経団連の国土・住宅政策委員会では委員企業を対象に「PFIに関するアンケート調査」(1998年7月実施)を行った。
その結果、回答企業の95%が「今後、わが国も、PFI事業の導入を進めていくべき」と回答しており、民間企業のPFIに対する期待の高さが裏付けられた。
推進すべき理由としては、「財政支出の削減が可能になり、小さな政府の実現に繋がる」「ビジネス領域の拡張により経済の活性化に繋がる」といった回答が多く寄せられている。
また、回答企業の20%の企業がPFI事業として、「現在検討中のプロジェクトがある」と回答しているほか、「将来的には自社で手がける可能性のある事業分野がある」と回答した企業は70%にのぼっている。

経済企画庁「平成10年度経済白書」の中では、公的事業分野への民間活力導入の一形態である第三セクターの事例(東京都の都市開発・交通事業等の社会資本形成に関係すると考えられる第三セクター23団体の経営状況、公的部門の出資比率)について触れられている。
これによると、経営内容が「良好」と判断される第三セクターへの公的部門の出資比率が5割程度であるのに対し、それ以外の第三セクターへの出資比率は7割超であった。
つまり、経営の内容は不明であるが、公的部門の出資比率を民間部門へのリスクの移転度合いの一つとして捉えると、民間出資比率が高いほど−民間主導であるほど−経営内容がよい、という結果になっている。