屋外広告物法


昭和24・6・3法律189号
改正平成6法律 49号
改正平成11・7・16法律 87号−−


(目的)
第1条
 この法律は、美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示の場所及び方法並びに屋外広告物を掲出する物件の改定及び維持について、必要な規制の基準を定めることを目的とする。

(定義)
第2条
 この法律において「屋外広告物」とは、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであつて、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。


 この法律において「屋外広告業」とは、屋外広告物(以下「広告物」という。)の表示又は広告物を掲出する物件の設置を行なう営業をいう。

(広告物等の制限)
第3条
 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、市(都の特別区を含む。)及び人口5千以上の市街的町村の区域について、広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置を制限することができる。


 前項に規定する市街的町村は、当該都道府県の条例で定める。

第4条
 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、次に掲げる地域又は場所について、広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置を禁止し、又は制限することができる。
1.都市計画法(昭和43年法律第100号)第2章の規定により定められた第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、美観地区、風致地区又は伝統的建造物群保存地区
2.文化材保護法(昭和25年法律第214号)第27条又は第56条の10第1項の規定により指定された建造物の周囲で、当該都道府県が定める範囲内にある地域、同法第69条第1項若しくは第2項又は第70条第1項の規定により指定され、又は仮指定された地域及び同法第83条の3第2項に規定する条例の規定により市町村が定める地域
3.森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項第11号に掲げる目的を達成するため保安林として指定された森林のある地域
4.道路、鉄道、軌道、索道又はこれらに接続する地域で、美観風致を維持するために必要があるものとして当該都道府県が指定するもの
5.公園、緑地、古墳又は墓地
6.前各号に掲げるもののほか、当該都道府県が特に指定する地域又は場所


 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、左の各号に掲げる物件に広告物を表示し、若しくは広告物を掲出する物件を設置することを禁止し、又は制限することができる。
1.橋りよう
2.街路樹及び路傍樹
3.銅像及び記念碑
4.前各号に掲げるものの外、当該都道府県が特に指定する物件

第5条
 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、広告物及びこれを掲出する物件の形状、面積、色彩、意匠その他表示の方法について禁止又は制限をすることができる。

第6条
 都道府県は、条例で定めるところにより、公衆に対する危害を防止するために必要があると認めるときは、広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置を禁止し、又は制限することができる。

(違反に対する措置)
第7条
 都道府県知事は、条例で定めるところにより、前4条の規定に基く条例に違反した広告物を表示し、若しくはこれに違反する広告物を掲出する物件を設置し、又はこれらを管理する者に対し、これらの除却その他美観風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために必要な措置を命ずることができる。


 都道府県知事は、前項の規定による措置を命じようとする場合において、当該広告物を表示し、若しくは当該広告物を掲出する物件を設置し、又はこれらを管理する者を過失がなくて確知することができないときは、これらの措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。但し、広告物を掲出する物件を除却する場合においては、条例で定めるところにより、相当の期限を定め、これを除却すべき旨及びその期限までに除却しないときは、自ら又はその命じた者若しくは委任した者が除却する旨を公告しなければならない。


 都道府県知事は、第3条から第5条までの規定に基づく条例に違反した広告物がはり紙であるときは、その違反に係るはり紙をみずから除却し、又はその命じた者若しくは委任した者に除却させることができる。ただし、そのはり紙が、条例で定める適用除外例に明らかに該当しないと認められるにかかわらず、はることを禁止された場所にはられているとき、条例で定める行政庁の許可を受けるべき場合に明らかに該当すると認められるにかかわらず、その許可を受けないではられているとき、その他そのはり紙が第3条から第5条までの規定に基づく条例に明らかに違反してはられていると認められるときに限る。


 都道府県知事は、前4条の規定に基づく条例に違反した広告物がはり札(ベニヤ板、プラスチック板その他これらに類するものに紙をはり、容易に取りはずすことができる状態で工作物等に取りつけられているものに限る。以下この項において同じ。)又は立看板(木わくに紙張り若しくは布張りをし、又はベニヤ板、プラスチック板その他これらに類するものに紙をはり、容易に取りはずすことができる状態で立てられ、又は工作物等に立て掛けられているものに限る。以下この項において同じ。)であるときは、その違反に係るはり札又は立看板をみずから除却し、又はその命じた者若しくは委任した者に除却させることができる。 ただし、そのはり札又は立看板が表示されてから相当の期間を経過し、かつ、管理されずに放置されていることが明らかなものであつて、条例で定める適用除外例に明らかに該当しないと認められるにかかわらず、表示することを禁止された場所に表示されているとき、条例で定める行政庁の許可を受けるべき場合に明らかに該当すると認められるにかかわらず、その許可を受けないで表示されているとき、その他そのはり札又は立看板が前4条の規定に基づく条例に明らかに違反して表示されていると認められるときに限る。づく条例に明らかに違反して表示されていると認められるときに限る。

(屋外広告業の届出)
第8条
 都道府県は、条例で定めるところにより、その区域内において屋外広告業を営もうとする者は都道府県知事に氏名又は名称、営業所の名称及び所在地その他必要な事項を届け出なければならないものとすることができる。

(講習会修了者等の設置)
第9条
 都道府県は、条例で定めるところにより、屋外広告業について、営業所ごとに広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置に関し必要な知識を修得させることを目的として都道府県の行なう講習会の課程を修了した者又はこれと同等以上の知識を有するものとして条例で定める者(以下「講習会修了者等」という。)が置かれていなければならないものとすることができる。


 都道府県知事は、条例で定めるところにより、議習会修了者等の置かれていない営業所について、当該営業所の属する屋外広告業を営む者に対し、期間を定めて、講習会修了者等を置くべきことを命ずることができる。

(屋外広告業を営む者に対する指導、助言及び勧告)
第10条
 都道府県知事は、条例で定めるところにより、屋外広告業を営む者に対し、美観風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために必要な指導、助言及び勧告を行なうことができる。

第11条
 削除

(特別区の特例)
第12条
 この法律中都道府県知事の権限に属するものとされている事務で政令で定めるものは、特別区においては、政令で定めるところにより特別区の長が行なうものとする。この場合においては、この法律中都道府県知事に関する規定は、特別区の長に関する規定として特別区の長に適用があるものとする。

(大都市等の特例)
第13条
 この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)及び同法第252条の22第1項の中核市(以下この条において「中核市」という。)においては、政令で定めるところにより、指定都市又は中核市(以下この条において「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。

(罰則)
第14条
 第3条から第8条まで及び第9条第2項の規定に基く条例には、罰金のみを科する規定を設けることができる。

(適用上の注意)
第15条
 この法律及びこの法律の規定に基づく条例の適用にあたつては、国民の政治活動の自由その他国民の基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならない。