街を支える3つの助け
個人 地域の人々・企業・団体など 国・自治体・行政など
災害の被害を軽減するためには。「自助・共助・公助」が不可欠です。
自助」は、一人ひとりが自ら取り組むこと
共助」は、地域や身近にいる人どうしが一緒に取り組むこと
公助」は、国や地方公共団体などが取り組むこと
3つの連携が円滑なほど、災害の被害は軽減できます。


首都直下地震の被害想定
死者数約11,000人
負傷者数
(重傷者含む)
約210,000人
重傷者数約37,000人

自衛隊や消防、自治体職員などは、津波や火災の対応、重傷者の救助など緊急性・優先性の高いものの対処に人員が裂かれ、怪我を免れた被災者への対応まで手が回らない事が予想されます。
我々は、市民の為に、公助では補えない部分を、地域企業・団体などと協力し、自助・共助による地域防災力向上を推進して行きます。


自助/共助/公助における実例
下表は、自助/共助/公助における実例の一部です。
ハード ソフト
自助
(個人/企業)
  • 各家屋・施設・設備の耐震、倒壊、耐水化対策
  • 非常用持ち出し品、備蓄品の常備
  • 非常用電源の確保
  • 代替拠点、データセンターの確保
  • 土嚢・止水板の設置
  • 代替輸送手段の確保
  • (事業継続計画)の策定などのBCM
  • 自主避難訓練とその強化
  • 避難場所の確認
  • 重要資源、重要情報の保護
  • 代替調達先の確保
共助
(企業/地域)
  • 帰宅困難者対策、地域または企業支援
  • 共同防災訓練の実施
  • 地域の住民のための災害物資備蓄
  • 自主防災組織の運営
  • 地域防災訓練の実施、その強化
  • ボランティアプログラムの企画
  • 防災教育、説明会、施設見学
  • 多様な主体間で開かれるワークショップ、その成果の共有
公助
(行政等)
  • カメラ、光ファイバー網整備による情報収集体制の構築
  • 電気施設、水道管、ガス管などのハード増設
  • 各インフラのメンテナンス活動
  • 各インフラ管理システムの構築、維持管理
  • 被災時の情報収集をリアルタイムに行うための調査体制の確立
  • 減災の考え方の浸透
  • 住民からの情報収集と提供体制
  • ハザードマップの作成
  • 過去の罹災履歴の提供
  • 他自治体組織との連携、協定締結
  • リスクコミュニケーション


中林 一樹

明治大学政治経済学研究科特任教授・首都大学東京名誉教授・(阪神・淡路大震災記念)人と防災未来センター上級研究員・東京都火災予防審議会地震部会長・東京都震災復興検討会議座長 など
大規模災害が東京を直撃した場合、国は被災全貌を把握し都県への支援と全国での官民挙げての支援の調整にあたり、都県や市区町村等の自治体はそれぞれの地域の被害状況の把握、救出救助や消火活動など、被害拡大を防ぐ減災活動に追われることになる。高齢者などの災害時要援護者への支援も地域に依頼するなど、行政の災害対応には極めて限りがある。地域の被災者にも3日間できれば1週間は自助で頑張ってほしいと言っているのであり、元気な若者が多い都心に溢れる帰宅困難者への対応には手が回らないのが実情である。
誰が帰宅困難者になるのかは、本人が一番分かっているはずである。とくに都心・副都心区部で被災した外出者は、そこに留まることが一番安全な対応である。地震の直後に250件もの火災が環状7号線の内外の木造密集市街地で発生し、都心部はそうした火災に取り囲まれるのである。少なくとも、これらの火災が収まるまでは、道路は緊急車両以外は使うことはできないし、都心部からの徒歩での帰宅も避けるべきである。
火災が収まるまで、職場や学校がある人はそこを活用して一晩過ごすべきであるが、買い物客など身を寄せる場所を持たない被災者に対して、一時滞留場所を行政・民間が協力して提供しようと、準備を進めているところである。しかしながら、行政からの支援には限界がある。場所を準備されているとしても、そこでは、滞留者が「自立自助」の観点から自ら対応するとともに、さらに若者が高齢者など援護が必要な帰宅困難者を支援して一晩過ごすという「市民共助」が不可欠であろう。
すなわち、発災直後の帰宅困難への対応は原則的に自立自助の課題なのであり、個人の防災意識の向上と、一人ひとりが帰宅困難時のための個別対策を考え、個人として防災グッズの準備等を具体的に開始することが重要である。さらに、就業者や顧客に対する企業責任の課題である。就業者が市民同士として地域で助け合えるような準備を企業としても進めておくべきである。
都心部での帰宅困難者が徒歩帰宅を始めるのは、火災等の対応活動が落ち着いてからなので、早くても翌日以降である。その時、帰宅途上で休憩したり情報提供などの支援の場として、『災害時帰宅支援ステーション』の考え方がある。でも、そこで支援する人は誰なのでしょうか。地域が大きく被災していれば、支援する余裕もないことも想定しておかねばならない。
とくに大都市では、誰もが帰宅困難になる可能性を持っている。その時、誰がだれを支援して、人々は徒歩帰宅するのでしょうか。市民の共助の場としての『災害時帰宅支援ステーション』構築は可能なのか。企業はどのように就業者や顧客の帰宅問題を支援すべきなのでしょうか。企業の役割は多い。