PFI方式歩道自転車駐車場整備及び維持管理事業

動き始めた「実効性のある改革」−この動きを確かなものとするために
〜歩道自転車駐車場整備及び維持管理事業を手がけるにあたり〜
1.迷惑駐輪の現状
 まちの玄関であり、顔でもある駅前の空間・景観はまちの価値を大きく左右させます。迷惑駐輪・放置自転車が引き起こす景観の悪化、歩行者・弱者等の通行障害、治安への悪影響、中心市街地・商店の衰退、自転車による幼児の交通事故の多発、不測の事態に対する安全性の低下などは、原因は様々なものがあるにせよ、みな問題の根源を同じくしています。少しでも自分のわがままを通したいという自分本位・自分勝手な考え方から起因するものです。
 各地で、自転車利用者、駅前商店街、地域コミュニティ、行政とも、それぞれ意見を言い合い、この課題と日常を共にしてきました。永年の課題のためか、対立ではなく、無力感のような、どこか他人事のようでもあり、半ばあきらめたかのような、暗いムードが漂っていたように感じられたものです。中には対策に窮し、少々過激に法令に適合しない公道上の自転車駐車場を独自の判断で整備する自治体も現れました。それほど困っていました。
2.迷惑駐輪・放置自転車の新たな対策(政令化)
 平成17年4月1日、この日、永年の迷惑駐輪・放置自転車問題の対策に新たな一歩が踏み出されました。「道路法施行令の一部を改正する政令(政令第125号)」が施行され、一定の条件下において公道上に自転車駐車場を整備できることになったのです。
 きっかけは民需分野で生まれたパーキングの技術です。技術先行型の自転車駐車場管理システムがそこに登場し、状況は変わりました。当初自動車駐車場のコインパーキングの技術が進化し、続いて自転車や自動二輪の自転車駐車場に飛び火しました。当初はテクノロジー・オリエンティドであり、技術先行型で駐輪サービスが進化し、ここへきてようやく解決可能なソリューションとなりそうな可能性を見出せるところまで到達しました。そして、それに呼応するかのように官需に新たな方向性が生まれてきたのです。
3.地方公共団体の対応
 行政の対応は従来と180度変わり、様々な場面で「容認する中で解決を勝ち取る」というように方向性が大きく変化してきております。まずは、この政令で国土交通省が道路行政を大きく転換しました。この動きを確かなものとするため、携わる者が皆、高い志を持たねばならないと我々は考えます。これに呼応し、次に変わらなければいけないのが自転車利用者、駅前商店街、地域コミュニティです。
4.マナー・モラル化への取組み
 自転車利用者は、自転車駐車場へ駐輪することをボランティアではなく義務であり、最低限のマナー・モラルであることをしっかり認識する必要があります。駅前商店街、地域コミュニティも、行政、自転車利用者など他人のせいにせず、当事者であることを認識する必要があります。
 ただ、これまでの経験上、それぞれ歩み寄っている状態であっても、当事者間は案外それを伝えられないものです。もどかしいものですが、それが現実です。直接は伝えられない、そこで第三者の介在が効果を発揮します。パートナーシップとはそういうもので、組み合わせにより総リスクが減るものなのです。生産性もまたそういうものなのです。我々は、微力ではありますが、地域の方々とともに、国土交通省、警察(公安委員会)が求める法令遵守の手段で課題が解決できるお力になりたいと考えております。
5.明るく活性化する事業化の方針
 公道上に自転車駐車場ができることが最終目的ではなく、明るく活力に溢れ、マナー・モラルが高いまちになる一助になりたいと願っております。そして、迷惑駐輪・放置自転車問題に困っている全国の自治体が視察に来てもらえるような事例としたいと考えます。どうかご協力のほど、よろしくお願いいたします。
平成18年10月
特定非営利活動法人 日本ソフトインフラ研究センター
理 事 長  田 中 弘 昭